世界保健機関(WHO)が、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」を2023年までに世界の食品から一掃することを目指し、段階的な戦略を発表した。

 

  WHOがこのほど開始したキャンペーン「リプレース」では、各国が人工のトランス脂肪酸を食品から排除し、世界的な根絶につなげるための手順を紹介している。

 

人工のトランス脂肪酸は、植物油を固形化する際の「水素添加」と呼ばれる製造工程で生成される。   そうした水素添加された油脂は、揚げ物やスナック、パンや焼き菓子などの製造に使われ、ショートニングやマーガリン、コーヒー用クリームなどに含まれる。  

 

他の油脂に比べて腐りにくい一方で、悪玉LDLコレステロールを増加させたり、心疾患脳卒中2型糖尿病といった疾患のリスクを高めたりするなど、健康への悪影響も指摘されている。

 

WHOの専門家によると、特に南アジア諸国ではトランス脂肪酸の摂取量が多く、心疾患リスクが極めて高い。   一方、中南米にも摂取量が多い国があるものの、既に対策に着手しているといい、南アフリカでは法律が制定された。

 

リプレースのキャンペーンでは、食品供給源の見直し、健康的な油脂の利用促進、法制化、啓発活動、対策の徹底などを呼びかける。  

 

日常生活の中で非伝染性疾患の原因となる要素の排除をWHOが呼びかけるのは今回が初めて。   米疾病対策センター(CDC)の前局長トム・フリーデン氏は、2002〜09年にかけて、米ニューヨーク市でレストランからトランス脂肪酸を一掃させる取り組みを主導した。

 

 同氏が代表を務める公衆衛生団体はWHOと連携して、リプレースに基づいてトランス脂肪酸の一掃を目指す各国の取り組みを支援する。   人工トランス脂肪酸は簡単に入れ替えられると同氏は言う。

 

「味もコストも食品の入手しやすさも変わらない。

 

心臓のみが違いを認識する。2023年までにトランス脂肪酸の一掃を呼びかける運動が大切な理由はそこにある」   米国では食品医薬品局(FDA)が、トランス脂肪酸の主な摂取源である半硬化油について「安全と見なすことはできなくなった」と判断。

 

2015年には食品会社に対し、3年以内にトランス脂肪酸を含む半硬化油を加工食品から一掃するよう指示した。   トランス脂肪酸を法律で規制している国は米国だけではない

 

デンマークは2004年、世界で初めて特定の食品に含まれる人工トランス脂肪酸に規制をかけ、同国の食品供給網からほぼ一掃した。   2015年の医学誌に発表された論文によると、同法の施行から3年後、デンマークで心臓血管系の疾患により死亡した人は、1年間に10万人あたり14.2人の割合で減少した。

 

WHOは不飽和脂肪酸の代替として、大豆油やヒマワリ油といった不飽和脂肪の使用を奨励している。

 

CNN co.jp 2018.05.21の記事より

 

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